前回のあらすじ
バブルのはじけるちょっと前、
携帯電話はまだ一般的に普及しておらず
就職戦線は異常なく、
ポンポコリンがレコード大賞を取った1990年のクリスマスの夜。
N君とのデートを仕切り直したいUは
この状況から何かかわるかもしれない、と
淡い期待を抱きつつ
人気の無い、雪降る夜の墓地でフラフラ歩くサラリーマンに
声をかけてみました。
どうかしましたか?
あ、すみませんが、公衆電話のあるところまで
乗せていってもらえませんか?
25歳くらいのサラリーマンでした。
実は彼女とドライブに来たんですが
途中で電柱にぶつかちゃって事故ったんです。
で、車が動かないからJAFに電話しようと思って。
それは大変ですね。
乗って下さい。
Uは運転しているN君の許可も取らずに
同乗を促しました。
サラリーマンは語り始めました。
雪が降ってたんですけど
行けるかな?と思ってノーマルタイヤで上っちゃっんですよ。
そしたらぶつかっちゃって。
え~、この雪の中をノーマルで上ったんですか?
俺らスノータイヤですけどスリップしそうになったんで
諦めて戻るとこだったんですよ。
上る時はそんなに降ってなかったから
大丈夫かと思って・・・。
雪道を甘く見てはいけない。
そんないきさつを聞いている間にも
車は坂を下り、麓の公衆電話を見つけました。
サラリーマンはすぐに電話ボックスの中に入りました。
ほら~、声かけて良かったでしょ。
そ~やけど・・・。
もういいやん。行こう。
え~、電話終わるまで待とうよ。
するとサラリーマンが電話ボックスから出てきて言いました。
あのー、小銭もってませんか?
Uはテレホンカードを出そうとしました。
しかし電話はピンク電話で、
テレホンカードは使えませんでした。
N君持ってないの?
え?
ちょちょ、待って。
あ、あった。
はい、どーぞ。
10円玉を何枚か手渡したN君。
ありがとうございます。
100円しか持ってなくて。
といい、電話ボックスに戻るサラリーマン。
ちょっとおかしくない?
自分の100円使えよ~!
確かにそーだ。
きっとJAFとか、自宅とか、何箇所にも電話しないといけないから
10円玉が何枚も必要なんだよ。
100円は入れてもお釣りがでないからさ~。
ちょっとご立腹気味のN君の気を取り直すU。
しばらくして電話を終えたサラリーマンが戻ってきました。
ありがとうございます。
助かりました。
いえいえ。
あの~、もう一つお願いがあるんですけど・・・。
つづく
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